タイトル通り、メニューの価格を見直しました。ほとんどのドリンクメニューを値上げさせていただきました。トーストメニューとモーニングは変更ありません。
原材料費の高騰も理由の一つではあるのですが、もっと別な理由があって今回価格を改定させていただきました。今年8月1日にオープンして以来ずっと、ブレンドコーヒーは300円で提供してきましたのですが、約5ヶ月間お客さんから「安すぎる」という言葉をもう何度も聞きました。まだみずのみばに来たことがない(またはコーヒーを注文したことがない)方に説明しておくと、コーヒーはサイフォンで一杯ずつ丁寧にお淹れしています。「300円だから、サーバーに淹れておいたコーヒーを温めて出してくれる感じなのかな」と思われた方もいるようでした。確かに今の時代で、サイフォンで一杯ずつ淹れたコーヒーを300円で提供しているお店なんて「ありえない」と言われるレベルなのかもしれません。
そもそもみずのみばを始めた当初、ブレンドコーヒーをどうして300円に設定したのかというと、”コーヒー豆の分しか”考えていなかったからです。私はお店をやることに関してはまったくの初心者です。にもかかわらず、人にろくに相談もせずお店を作り、メニューの価格もすべて自分で決めました。コーヒー一杯あたりに使う豆は15グラム、約90円(オープン当時の値段です、今はもう少し上がりました)。原価率3割ってよく聞くから、90円÷0.3=300円だな、と。当たり前のことですが、豆だけではコーヒーを淹れることはできません。お湯、お湯を沸かすための電気、サイフォンの道具(フィルターやアルコールランプなどの消耗品含む)なども必要です。なのに私はコーヒー豆以外のすべてを無視して300円、と設定してしまったわけです。いやほんと、アホだなあと笑っていただきたいくらいなのですが…。
あともう一つ、無視していた要素があります。「場所代」です。私からすっぽり抜けていた概念。店主である私の一番重要な仕事は「みずのみばという場を提供すること」です。みずのみばが好きで通ってくださっている方は分かってくださっていると思いますが、みずのみばは「美味しい飲食物を提供すること」に重きを置いていません。もちろん、美味しく作るようにいつも心がけてはいますが。それがお店をやっている目的には結びつきません。私はこの世の中に”喫茶店のような”場所(喫茶店でなくてもよい)は必要だと強く思っています。みずのみばを約5ヶ月やってきた実感として「みずのみばはこの世の中に必要だ」と確信しています。今はそう思えます。しかしオープンするまでは確信がありませんでした。なんせお店をやるのは初めてで、果たしてお客さんが来てくださるのかも未知数だったので。「みずのみばはこの世の中に必要だ」と私に確信させてくれたのは、もちろん来てくださるお客さん皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。
みずのみばは本業としてやっているわけではありません。本業がお休みの日にやっています。副業といえばまあそうなんだけど、あんまり”仕事”とは思っていません。好きでやっていることなので”趣味”に限りなく近いのですが、100%”趣味”ですとは言い切れないなと思います。先述した「みずのみばはこの世の中に必要だ」というのは社会的意義とも言えそうです。なので私はある程度の”使命感”をもってみずのみばをやっています。使命感というと堅苦しい感じもありますが、私自身みずのみばが好きだし、いつもいつも楽しくやっています。言わずもがな、メニューの価格というのは、お店の構成要素の大きな部分であり大事なことです。みずのみばを長く続けていきたいという意味でも、この大事なことを改めて見直すことにしました。
いつものごとく長い文章になってしまいました。簡潔にまとめると、今回のメニュー価格の見直しは主に、みずのみばという場所代を頂戴する目的で行いました。コーヒーに限らずほとんどのドリンクを値上げし、今の時点で私が考える適正な価格に見直させていただきました。来てくださる皆様には、日々いろいろと変更してしまい申し訳ありません。今後ともよろしくお願いいたします。